街角にあるハンバーガーチェーン、
私もよく利用しますが、今回はそんな
ハンバーガー店で起きた話を伺ったので紹介します。
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入院していた15歳の息子がハンバーガーを食べたいというので、
病院の近くの銀座の裏通りにあるハンバーガーショップに行きました。
店に入って、子供に言われたものを注文すると、
若い女性の店員さんが、
「11時までは朝のメニューなので、ほかのものではいけませんか?」と言う。
私がちょっと困った顔をすると、彼女は、
「ちょっと待っていただければ、お作りします」と言って、
11時までまだ30分ほどあるのに、準備を始めました。
このようなチェーン店では、
すべてマニュアルどうりに受け答えするものと思っていた私は、
とてもびっくりしました。
作ってもらっているあいだに、子供が入院していることを彼女に話しました。
注文したハンバーガーを受け取り、店を出ようとすると私に、
店の奥から彼女が、「おだいじに」と声をかけてくれました。
私もびっくりしましたが、店にいたほかのお客さんも振り返っていました。
すごく感激して病院に戻って、子供に袋を渡すと、
「お父さん、こんなものが入っているよ」と、袋のなかから、
一枚のカードを取り出しました。
そこには、
「早く元気になってくださいね」
と書かれていました。
悪性の腫瘍(しゅよう)のため、それから半年後、
息子は16歳で早世(そうせい)しました。
二年間の闘病生活のなかで、たくさんの人々から励まされましたが、
この出来事は、今も思い出されてなりません。
参照『涙が出るほどいい話』河出文庫
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人が感動するのは、事前期待を上回る時だと言われています。
事前期待とは、この程度やってくれれば、
満足と言える満足度の基準と言えます。
期待をはるかに超えた出来事は、
一生の記憶に残ることもあるでしょう。
マニュアルに縛られず、何とかお客さまの
お役に立ちたいという透き通るような美しい感性。
こうした感性を持つ人と出会うと幸せな気持ちになります。
最後までお付き合いいただきありがとうござます。