監視か関心か? それが問題だ

監視か関心か? それが問題だ

企業研修の仕事が多いのですが、
事業所やチームのリーダー層に向けて人材育成に関する研修を
する場合があります。

こうした研修では、主に人材育成に関する心構えと、
「褒め方」「叱り方」といったスキル的なことをお伝えするのですが、
特に心をこめてお伝えすることがあります。

おそらく、上司の方は何気ないコミュニケーション、
いつもと変わらない会話や仕草だと思うのですが、
上司の言動は、想像以上に部下に、組織に影響を
与えているということです。

たとえば、会話をしている最中に腕を組む、足を組む。
上司は何気ない仕草ですが、部下からみると「拒絶」のサインです。

「いや、それは考えすぎでしょ」 
「そこまで気を配れないよ」

と思ったとしたら、

それこそ注意が必要です。

コミュニケーションのギャップのほとんどは、
こうした「そんなつもりは無い」ことからはじまっているのです。

もちろん、信頼関係という確固たるベースがあれば、
多少のコミュニケーションギャップは簡単に乗り越えていきますが、
そこまでの信頼関係を構築するのは、並大抵のことではありません。

また、上司には、冷たい上司厳しい上司があります。

冷たい上司とは一言でいえば、部下に無関心な上司です。
厳しい上司とは、部下に関心を持ち続けている上司です。

冷たい上司は、仕事上で部下を叱ったあと、
関心を寄せずに、放置します。

もっというと、関心を寄せる以上に部下を管理しようとします。
自分の思い通りに動かしてやろうといつでも監視しています。

部下に関心を持たず信頼もしない。
監視が仕事になってしまっているのです。
これでは、部下は自由闊達に仕事することはできません。
信頼関係とは無縁の世界でしょう。

一方、厳しい上司は、叱るタイミング、声のトーン、
場所も考えたうえで適切な言葉をさがします。

さらに、叱られた後に、部下がどんな気持ちになったのか、
どんな様子で帰っていったのか、翌朝、どんな表情で出社してくるのか。
叱った後も関心を持ち続けます。

叱られた部下も周囲の社員もこうした上司の態度や
心の持ち様を驚くほどしっかりと観察しています。

そして、上司が部下を見るより、
部下が上司を見る目のほうが確かなことが多いです。

経験的におそらく上司が思っている3倍以上、
部下は上司の一挙手一投足をよーく見ています

上司が変わると組織が変わると言いますが、これは本当ですね。

上司次第で組織の風土も社員のモチベーションも大きく変わります。

厳しくも温かい上司の下には、そうした部下が育ちます。

人は自分が育てられたように人を育てようとしますので、
人を育てる文化というのは、こうして伝承されていきます。

未来のために、いま変えること。

それは、

私たち一人一人の言動なのです。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。