警察で打ち合わせ

警察で打ち合わせ

大学を卒業後、旅行会社に勤めていました。

法人営業を担当していて、仕事は社員旅行を中心に、
修学旅行やインセンティブ旅行などを企業に提案して、
自分で添乗員として同行するスタイルでした。

一般企業が多かったのですが、
消防署や警察署、機動隊の方たちの旅行もお手伝いしていました。

こうした業界の方は、男性の方がほとんど、
特に、警察署にお伺いすると、声はデカいし、
掲示物はなぜか全部筆書きで物々しいし、畳の道場があったり、
何よりおじさんばかりで「ザ・男の職場」といった感じでした。

警察署は、春のレクとか秋のレクといって、
同じ課のみなさん(8人〜12人位)で旅行に行く習慣があるのです。

そして、交番勤務である「地域課」の方は、人数も多く、
だいたい予定通りに旅行に行ってくれます。

逆に、ちょっと凶悪犯や捜査継続中の事件を扱う
「刑事課」は突発的な事件が起きると、特捜部のようなチームが
編成されて、旅行どころじゃなくなります。

私としては、打ち合わせを何度も重ねてきた旅行が
直前にキャンセルになってしまうので、残念で仕方ありません。

お客さまに喜んでもらおうと一生懸命に調べて、旅程コースを作ったり、
観光地の情報を調べてパフレットを各地に請求して取り寄せたり、
旅館ではサプライズを用意したりしましたから。

とはいえ、事件そっちのけで、旅行に行く訳に行かないですよね。
お客さまからのキャンセルの連絡も気持ちよく笑顔で応えました。

きっと、お客さまも申し訳ないと思ってくださったのでしょう。
その後は、必ず私を指名して使ってくれました。

警察官の方も旅行を楽しみにしてくれていたと思いますが、
行けなくなってしまって可哀想だなと思いました。
きっと、ご家族などプライベートの旅行も同じでしょうからね。
市民を守るのが職務の警察官とはいえ、大変な仕事です。

そんな、警察の方との想い出はたくさん、
ここで話せないようなことも(笑)あるのですが、
びっくりしたのは打ち合わせですね。

暑い夏の日のことです。

旅行の打ち合わせをするために、警察署に行って、
幹事さんを訪ねると、「部屋とってあるから、そこでやろう」とのこと。

確かに幹事さんの机でやる訳にもいかないだろうなと思って、
幹事さんの後をついていきました。

部屋の一番奥にある小さな部屋を案内されたので、
さあ、中に入ろうと思って、ふとドアを見たんです。

そうしたら、白いプレートに大きく書いてあったんですね。

「取調室(とりしらべしつ)」と。

いやー、びっくりしましたね。
まさか、取調室で旅行の打ち合わせをするとは。

狭くて机とイスだけの質素な部屋でしたが、
「ここが取調室か〜」と興味津々だったのを覚えています。

警察の方は義理人情が厚い人が多くて好きでした。
そして、癒着防止のため異動が多いので、どんどん異動するんですね。

そうすると、お客さまがどんどん色んな警察署に行って、
行った先から連絡をくれるので、私も東京23区にある警察署は
かなり行きましたね。

おかげで、色んな取調室を見ましたよ(笑)

いつか、昔の刑事ドラマみたいに、
かつ丼が出てくるんじゃないかと思って
期待してたんですが、さすがに出てこなかったですね〜。

さて、今日は私のびっくりした体験でしたが、
私が学んだのは、

一生懸命にお手伝いすると、
異動しても、場所が離れてもしっかりお客さまは、
連絡をくれるんだなということ

でした。

そして、どんどん仕事が増えていく、
異動先でもクチコミしてくれて紹介客もどんどん増えていく。
そんな体験でした。

さて、あなたも一生懸命に仕事することで、
リピートやクチコミをしていただいた体験がありませんか?

こうした話をぜひ社内の若手の営業マンにもしてあげてくださいね。
ストーリーで話すことで、臨場感を持って聴いてくれるはずです。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。