ベテランが陥る罠と解決策

ベテランが陥る罠と解決策

以前、旅行会社で働いていた時の話です。

法人営業の営業マンとして、
汗水たらしながら、必死にやっていました。

主に社員旅行や修学旅行などの仕事を担当していましたが、
私のいた会社では、自分で仕事を取ってきたら自分で添乗に
行くのが通例でした。

これまで宿泊施設は視察や宿泊を合わせて400か所くらいは、
訪問していると思います。これは、決して多い訳ではなく、
きっと旅行会社で法人営業をしている人なら平均的だと思います。

旅行会社の営業マンは、仕事柄、
日本中の温泉地に行くことになります。

恐らく、温泉旅館で働いている方は、自分たちの温泉地については、
誰よりも詳しいと思いますが、他の旅館や他の温泉地の旅館の状況に
ついてはあまり知らないのではないでしょうか。

旅館で働ているからといって、全国の旅館に泊まり歩かないですもんね。

きっと旅行会社の社員(添乗員)のほうが詳しいはずです。
旅館に対する「良かった悪かった」というお客さまの生の声も
聴くことができますしね。

そんな添乗員さんの話を旅館さんは、
もっと聴いて活用すればいいのになと思います。

思い返すと、旅館に宿泊して添乗員である私に、
しっかりと自分たちの旅館へのフィードバックを求めてきた
旅館さんは1軒だけですね。

山梨県の石和温泉にある中規模旅館でした。
もう10年以上前の事なのに覚えているということは、
それだけ珍しい体験だったからでしょうね。

ここでのエピソードをお話すると、
チェックアウトの際に、こう聞かれただけです。

「加藤さん、私どもの旅館で何か改善することはないでしょうか?」

たった、これだけなんですが、記憶に残るものですね。

私の回答はこうです。

「お風呂場の脱衣場の洗面台にあるゴミ箱の位置が悪いですね。
 洗面台の上に置いてあるゴミ箱が大き過ぎることもありますが、
 何より、洗面台という衛生的な場所には合わないので、
 背の高いゴミ箱に変えて洗面台の下に置いてはいかがでしょうか?」

旅館さん曰く、
「ありがとうございます! 早速直します!」

会話の時間にして、ほんの5秒くらいだと思いますが、
この5秒で改善点が一つ見つかったわけです。

私も聞かれなかったら、答えていませんでした。

旅館さんは、毎日のローテーションの中で、
当たり前の風景になってしまって気が付かないんですね。

私もそうですが、自分のことは自分が一番わかりません。
だからこそ、

他者からのフィードバックが重要

なんです。

この旅館さんが素晴らしいなと思ったのは、
私は当時まだ25歳くらいで、まだまだ経験の浅い若者だったのです。

きっと旅館経営に関しては、相当な知見をお持ちのことでしょう。

それでも、第三者の意見として、若い添乗員に
アドバイスを求めるという姿勢には頭が下がります。

長年仕事をしていると、自分は自分の業界や会社のことを
誰よりもよく知っていると勘違いしてしまいますね。

ベテランになればなるほど陥る罠のようなもの

です。

他者からフィードバックを受けるというのは、
心がちょっと痛いこともあります。

だから、それが怖くて誰も聞かないのです。
だから、改善ができないのです。

フィードバックにより、
私たちは更に成長することができます。

この旅館さんのように、
謙虚に耳を傾ける姿勢に学びたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。