いや〜、びっくりしました。
東京駅前の八重洲にある居酒屋さんでの出来事です。
久しぶりに兄と二人で食事しながら、
「このブリ大根おいしいね〜」と話しながら
ほとんど食べ終わる頃に発見してしまったのです。
何を発見したのか・・・。
それは、ブリと一緒に茹でられた昆虫の「カメムシ」・・・。
カメムシといえば、きつい匂いを放つ昆虫で
あまり好まれない種類の虫だと思います。
当たり前かもしれませんが、
「おれ、カメムシ好きなんだよね」って聞いたことありません。
小さい頃はなんとか昆虫も手づかみしてましたが、
大人になってからは触ることもありませんし、
どちらかと言うと昆虫は嫌い・・・。
その嫌いな昆虫が、お皿にしっかり鎮座していましたからね。
色が茶色くて食べ始める前はわからず
食べ終わってから気が付いてしまいました・・・。
「おいしい、おいしい」と満足げに
食べていただけにショックが大きかったです。
さすがにお店のスタッフの方に静かに言いました。
「あの、カメムシがいるんですけど」
「えっ!あ!ほんとですね。申し訳ありません!」
怒鳴るつもりも、大騒ぎするつもりもありませんから、
ちゃんと謝ってくれればいいかな位に考えていました。
すると、50代後半くらいでしょうか、白衣を着た
料理長らしき方が青い顔して慌てて飛んできました。
「も、申し訳ありません!」
本当に恐縮した表情で、床にひざをつけて、
再度「申し訳ありませんでした」と謝ってくれました。
私たちも怒ってクレームをつけた訳でもないのに、
しっかり謝ってくれるんだなと思いました。
すると、恐縮したまま料理長は、
反省しきった声で言いました。
「じ、自分でも何でこんなところに虫が入り込んだのか・・・。
わからず・・・。
こんな事があるなんて・・・。
せっかくのお食事の時間を・・・。
本当に申し訳ありません」
消え入るような声で言ったかと思うと、
今度は土下座しようとするので、
慌てて兄と「そこまでしなくても」と止めました。
しきりに謝りながら目にはうっすらと涙が。
こちらがかえって恐縮するぐらいに、
心の底から申し訳ないという気持ちが伝わってきました。
ここまで誠実にしっかりと反省して謝罪されたのは初めてでした。
その
誠意ある謝罪にプロ意識
を感じました。
お客さまに楽しい時間を過ごしてもらいたいという
強い使命感がなけばれば、ここまでの謝罪はできないからです。
反省の深さは、その使命感や情熱の裏返しだと思います。
何気なく指摘したことをしっかりと受け止めてくれて、
想像をはるかに超える誠実さと反省した表情、
そして、心からのお詫びをしてくれたこと。
その仕事に対する姿勢に感動しました。
こんなに一生懸命な方がいるなら、
またこの店に来ようと思いました。
謝罪の姿からファンになったのは、今回が初めてです。
おもてなしやサプライズの演出だけでなく、
謝罪の姿勢でもファンは作れるんだなという実体験でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。