居酒屋チェーンの「魚民」に行くと、
いつも気になっていたことがあります。
それが、トイレに掲げられている「親父の小言」です。
(ちなみに、女性トイレにあるかどうかは不明です)
この言葉をご存知の方もいらっしゃると思いますが、
気になって調べてみました。
すると、東日本大震災でも大きな被害のあった福島県浪江町にある
大聖寺(だいじょうじ)に掲げられていたものなんだとか。
その大聖寺の住職青田暁仙氏(明治28年〜昭和6年)が、
昭和3年33歳の時に家訓として家族に残そうとして書いたもので、
今もその原典が孫にあたる現住職により大切に保管されているそうです。
「親父の小言」という言葉からは、自分を心配してくれる、
耳に痛いこともあるけど、自分を気にかけてくれる。
そんな父親への感謝と愛情さえも感じさせます。秀逸です。
では、改めて全文紹介しますね。
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『親父の小言』
火は粗末にするな
朝きげんよくしろ
神仏をよく拝ませ
不浄を見るな
人には腹を立てるな
身の出世を願へ
人に馬鹿にされていよ
年寄りをいたわれ
恩は遠くから隠せ
万事油断するな
女房のいうこと半分
子のいうこと八九はきくな
家業は精を出せ
何事もかまわずしろ
たんと儲けてつかへ
借りては使うな
人には貸してやれ
女郎を買うな
女房を早く持て
難渋な人にほどこせ
生き物を殺すな
年忌法事をしろ
義理は必ず欠くな
ばくちは決して打つな
大酒は呑むな
大めしを喰うな
判事はきつく断れ
世話焼になるな
貧乏を苦にするな
火事の覚悟をしておけ
風吹きに遠出するな
水はたやさぬようにしろ
塩もたやすな
戸締まりに気をつけろ
怪我と災は恥と思へ
物を拾わば身につけるな
小商ものを値切るな
何事も身分相応にしろ
産前産後を大切に
小便は小便所へしろ
泣きごとは必ず云うな
病気は仰山にしろ
人の苦労を助けてやれ
不吉は云うべからず
家内は笑ふて暮らせ
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いかがでしょうか?
物の道理というか、当たり前のことを当たり前に綴っていますが、
だからこそ普遍的で私たちの心を打つのかもしれませんね。
私も、将来、大きくなった子どもと晩酌しながら
「親父の小言」を話す日が来るような気がします。
ひょっとしたら、子どもからは煙たがられるかもしれませんが、
それでも、子どものことを思うが故に、口うるさいと思われようとも
伝えたくなるものなんでしょうね。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。