苦しい時が上り坂・添乗員の話

苦しい時が上り坂・添乗員の話

旅行会社時代は法人営業をしていたのですが、
企業の社員旅行を受注したら添乗員として一緒に同行していました。

添乗員として100回以上は同行したと思います。
ほとんど国内ですが、たまに海外にも行きました。

添乗員の仕事というのは、時間管理から観光施設、食事場所、
交通機関、宿泊施設と関係各所への連絡とお客さまへの対応、
気も使うし体力的にも精神的にもかなりハードな仕事です。

朝は誰よりも早く集合場所に行きますから寝不足になりがちです。
夕方に旅館に着くとホッとするんですが、夜は夜で宴会があります。

この宴会が社員旅行のメインイベントだったりもするので、
気の抜けないところなんです。というより一番緊張感ありましたね。

宴会でやっていたことをざっと挙げるだけでも
旅行をご用命いただいたお礼の挨拶から司会進行、
お酒が足りてなければ厨房までいってビールを持ってくる。
料理の出てくるタイミングを中居さんと相談して決める。

また、お客さまがカラオケやりたいと言えば曲をセットしてマイクを
持っていく。「加藤さんも歌ってよ」頼まれれば一緒に歌う。
「何か出し物やってよ」と頼まれれば手品をやったり、
時には喧嘩の仲裁から酔っ払ったお客さまの介抱まで。
お酒弱いのにさんざん飲まされたり・・・。

そうそう、建築関係の会社さんや警察や機動隊の旅行は男性の
職場なので、宴会にコンパニオンさんを入れることも多かったですが、
一番役職の高い人の隣に一番美人なコンパニオンさんに座ってもらったり
と監督のようにコンパニオンさんを配置してましたね(笑)。

夜中の1時に携帯に電話かかってきて「部屋に焼酎持ってきて」と
言われて届けたり、一日が終わったと思ってたら大浴場に行けば、
お客さまと風呂場でバッタリなんてザラですからね。
いまさらながら、お客さまと露天風呂に入るってすごい仕事ですね。

そんなこんなで朝から晩までとにかく気の休まる暇の無い仕事です。
でも、旅行でずっと一緒にいるので、仲良くなるのも早くて、
翌年のリピート受注がその場で決まることもよくありました。

だからこそ、添乗中は一生懸命でしたね。
でも一生懸命さを全面に出すとお客さまが旅行を楽しめないので、
笑顔で明るく元気にやってました。辛くても何年も続けてこれたのは、

お客さまが目の前で喜んでくれるのが嬉しかった

からでしょうね。

そして、旅行中に「来年も頼むよ」と言ってもらえるかを考えてました。
社員旅行を年に何回も行く会社はありませんから購入頻度は年に1度。
旅行会社同士の競争は相当激しかったですからね。
100名を超す大型の社員旅行になると8社以上で相見積もりもよくある話。

その会社の社長さんや経営層はもちろん幹事さんにも気を遣いながら
さらに来年の幹事さんを聴き出して仲良くなるように努めてました。

今となっては懐かしい想い出ですが、当時は必死でしたね。
もがきながらもこの頃の経験から「気配り」が、少しはできるように
なったと思います。

忙しかったけど、悔しいことも理不尽なこともたくさんあったけど
20代の若い時に経験できてよかった。と、今なら素直に思えます。

間違いなくこの頃の経験が今の私を形づくってます。

一番苦しい時代が、一番自分を成長させる

のかもしれませんね。

あなたが一番成長した時代はいつですか?

たまには想い出すのもいいかもしれません。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。