共感しないキャッチコピー

共感しないキャッチコピー

あなたは、ワインや日本酒、焼酎を飲んだときに、
こんな感想を言ったことがありますか?

「このワイン、葡萄がよく絞れているなあ」

「この日本酒、米がよく絞れているなあ」

「この麦焼酎、麦がよく絞れているなあ」

ほとんどの方は、無いと思います。

私はビールでは、キリンの一番搾りが好きなのですが、
この一番搾りのCMや電車の中吊り広告を最近よく目にします。

そして、キャラクターのイチロー選手が言うセリフが、
「うまく絞ってるなあ」なんです。

CMはこちらから
http://www.kirin.co.jp/brands/IS/ad/new/index.html

メーカーのキリンはおそらくこの一番搾りを作るのに、
相当な苦労をされてようやくおいしく飲める搾り方を
見つけたのだと思います。

それを汲み取ってか、CMディレクターや広告代理店は、
イチローのセリフとして「うまく絞ってるなあ」と台本を
書いたのでしょう。

でも、今回の記事の冒頭でも書いた通り、
お酒を飲んでいて、そのお酒の原料の絞り方の感想なんて
ほとんどの方が気にしていません。

そもそも、原料の絞り方まで気にしながら飲むのは、
ワインのソムリエくらいでしょうか。

そのほとんどの方が気にしない原料の絞り方なのに、
こうして大々的にCMや広告のキャッチコピーとして、
「うまく絞ってるなあ」と使われているのです。

誤解のないよう念のためお伝えしますと、
私はイチロー選手の大ファンですからね。

はじめて、電車の中吊り広告でこのキャッチコピーを
見た時は、ちょっとびっくりしました。

広告代理店とメーカーとの会議で決定したんだろうと
思いましたが、共感できないコピーだと感じました。

このように、メーカーが訴えたいポイントと
お客さまが感じる感想はギャップが起こることがあります。

それをわざと狙ってコピーを作るテクニックもありますが、
せめて実際に感じるセリフまで落とし込んでくれないと、
引きつけるパワーが弱くなってしまいます。

反対にいえば、メーカーが伝えたい
こだわりのポイント(長所)をうまく表現して、
お客さまに宣伝できれば、非常に効果の高いPRとなります。

あなたは、会社のホームページや商品のキャッチコピー、
カタログやパンフレットに記載されている言葉にどれだけ
心を配っていますか?

しっかりお客さまの心をつかみ、共感する表現になっていますか?
ぜひ見なおしてみてくださいね!

●ちょっと、お口直しの余談コーナーです●
ビール各社の現在のキャッチコピーを見てみましょう。

■アサヒビール・スーパードライ
「うまい!を明日へ!」

■サッポロビール・エビス
「エビスは時間をおいしくします。」

■オリオンビール・サザンスター
「進化する青。」

ビールを各メーカーがどのようにお客さまに
伝えようとしているのかを比べてみるのも面白いですよね。

同じように、あなたの扱う商品やサービスで
キャッチコピーを並べてみることをおすすめします。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。