「もう来なくていいから」
私が、旅行会社に入社して数ヶ月目、
新入社員の頃にお客さまから電話で言われた言葉です。
当時は、知識も経験もなくビジネスマナーも
良く分かっていない不安な時期でしたので、
言われた時は相当ショックでした。
お客さまが立腹された理由は、
私の連絡が遅かったから。
旅行会社の営業マンとしては、
お客さまが旅行から帰ってきて、
本来すぐに連絡しなくてはいけません。
私はお客さまが帰ってきて2日後に
「社員旅行はいかがでしたか?」という電話を
差し上げてしまいました。
お客さまは、開口一番、
「なぜ、帰ってきた翌日にすぐ電話をしてこないのか?」
電話口で私は真っ青になって、
「申し訳ありませんでした」と平謝り。
すぐに上司と一緒に謝りに行き、何とか許しを得て
その後もお付き合いをさせていただくことができました。
(今もテレビCMをやっているニッチな業界No.1の会社です)
お客さまからしてみれば
「せっかくお宅を使ったのに、ほったらかしにされた」
と感じさせてしまったのだと思います。
この時の反省から、お客さまが旅行から帰ってきたら
すぐにお伺いの連絡を入れるようになりました。
さらにグループ旅行で自分が添乗員として同行できない場合は、
旅行中に何度か幹事様の携帯電話に連絡を入れて、
旅行の状況を確認するようにしました。
それ以降、私は休日の場合でもお客さまが旅行に行かれている場合は、
常にバッグの中にお客さまの旅行日程表を持ち歩きました。
日程表と一緒に、宿泊する旅館、立ち寄る観光施設、昼食場所、
バス会社、航空会社など利用するすべての連絡先一覧も持ち歩きました。
そして、頃合いを見計らって電話します。
「大丈夫ですか? 無事に旅行を楽しめていますか?」
すると、お客さまも「わざわざ電話くれてありがとう」と
嬉しそうに答えていただけるようになりました。
この電話連絡のお陰で、トラブルを回避したこともありますし、
例えば旅館さんでミスがあった場合でも旅行中に挽回して、
お客さまのご機嫌を直していただくフォローができるようになりました。
ちなみに、添乗員の世界では旅行中の失敗は
旅行中に挽回することが絶対条件です。
(しかし、失敗は旅館さんや観光施設さんの不手際が多いから難しい…)
それにしても、新入社員時代にしっかり、
叱ってくれたお客さまのおかげで、反省する機会を得て
その後はリピートしていただけるお客さまを
増やすきっかけにすることができました。
いま振り返ってみても、たくさん失敗してきましたが、
その度に、反省し改善を繰り返してきました。
仕事はお客さまから教わることが本当に多いですね。
良いお客さまと巡り合えて、
たくさん成長させていただきました。
そんな大切なお客さまだからこそ、
もっと喜んでもらいたいと思うもの。
「喜んでもらうにはどうすればいいのか」
それを考えるのが商売の楽しさですよね?
最後までお付き合いいただき
ありがとうございました。